「大丈夫」を言い換えよう
「大丈夫」は、とても便利な反面、厄介なことも多い言葉です。
明らかに疲れているのに「大丈夫」と言う夫や妻に、「本当に大丈夫?」と心配になることもあります。
他にも、
「傘持っていく?」「大丈夫」
というやり取り。
これって、傘を持っていくのか・持っていかないのか、結局どっち?
と、言葉だけではわからないことがあります。
いう方は気軽でも、受け取る方は悩んでしまうことも。
そこで気持ちのすれ違いをなくす、「大丈夫」の言い換え術をみていきましょう。
「大丈夫」の返事が嫌な理由3選 -大丈夫は大丈夫じゃない
使う方は気軽でも、「大丈夫」と聞いた側は困ってしまうのは、なぜでしょうか。
① 負担がかかる
片付けをしていて…
「これ取っておく?」「大丈夫」という返事がきたとき。
つまり、これは捨てていいの?取っておくの?
どちらなのかすぐにわからずモヤモヤします。
相手思いの方ほど「勝手に判断するわけにはいかない」と、相手が返事をしたとき表情や言い方、さらに聞いた物に対する過去の様子などからも意味を考えてしまいます。
これは、考える負担がかかります。
質問に対して明確に答えてもらえればスッキリしますよね。
② 聞き返さないといけない
先ほどの例では、結局相手の意図をハッキリさせるためには聞き返さないといけません。初めから明確に答えてくれたら、モヤモヤする時間もこの手間もいりません。
小さなことですが、繰り返されるとストレスがたまっていきます。
③ 他人事感を感じるから
「今日の夕飯どうしようか」や「どこ行こうか」という質問に対して、「なんでも大丈夫」と返ってくると、心理的距離を感じてしまいます。
ふたりのことなのに、自分一人に押し付けられる感じの「孤独感」や悩み・困りごとを一緒に考える「助け」が欲しいのに、突き放された感じがすることもあります。
よく使う「大丈夫」の意味5選
そもそも「大丈夫」にはどんな意味があるのかを整理してみましょう。混乱の原因が見えてきます。
①安心・安全の確認
これなら地震が来ても大丈夫だね!
うん、絶対大丈夫だね!
②気にしないで
「持って帰るの忘れない?」 「うん、大丈夫!」
「これ新しいの買っておこうか?」「あ~大丈夫」
Noと言いづらいときに「大丈夫」を使う人もいますよね。ただし、言われた側にとっては返事がYesなのかNoなのかわかりにくいことがあります。
③柔らかい断り文句
「お水お代わりいかがですか?」「大丈夫です」
「手伝いましょうか?」「大丈夫です。」とか「お弁当温めますか?」「大丈夫です。」など。
柔らかい断り文句として「結構です」と同じ感じで使うこともあります。
④体調や状況の確認と返事
「大丈夫?体調悪い??」「大丈夫。」
体調や仕事など、本当はあまり大丈夫ではないと感じていても、相手を心配させたくなかったり、自分で何とか出来ると思たり、ひとりで頑張りたいと思った時に大丈夫ということがあります。
このパターンの場合、聞いた側は”配慮”や”気遣い””心配”を受け取ってもらえない寂しさを感じたりします。
仕事では、たとえば部下自身は大丈夫と思っていても会社の観点からは大丈夫でないときもありますよね。
お互いのすれ違いが起きやすい表現のパターンですね。
⑤励まし
「大丈夫大丈夫!あなたならできる!」
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
「大丈夫」は相手を勇気づけるために使うこともあります。
このようにいろいろな意味をもち、便利でもすれ違いも生みやすい「大丈夫」の言葉。上手に言い換えて自分も相手も幸せな関係を築きませんか?
「大丈夫」の言い換え3選
大丈夫の言い換えは、そのひとが言葉にのせて伝えたかった「想い」がカギになります。
ここでは、NVC(非暴力コミュニケーション)の考え方を使って、心のつながりをつくり、より気持ちが良く円滑なコミュニケーションになる言い換え方法をお伝えします。
心をつなぐ言い換え術①
元の会話
昨夜、遅くまで仕事してたけど、体調は大丈夫?
大丈夫だよ
本当かなあ?
自分と相手が言葉を通して何を伝えたいのかに光を当ててみましょう。
心つながる言い換え①
昨日遅くまで仕事してたね。全力でやりきりたいと思うんだけど、身体が心配。健康も大切にしてほしいよ。
そうだね。たしかに疲れてる。ありがとう。今日が正念場だから、仕事から帰ったらゆっくりするね
「大丈夫」という言葉ではお互いに曖昧な表現でしたが、妻の大切にしたい「責任感」や「一貫性」や、お互いの「思いやり」「健康」を大切にしたいというニーズでつながりました。
心をつなぐ言い換え術②
元の会話
明日久しぶりにゆっくりできる休みじゃない?新しい映画、一緒に見に行かない?
大丈夫
返事の曖昧さにモヤッとしたり、相手といるのが楽しみだったのに相手が嬉しそうな感じに見えずにがっかり、という気持ちから「行きたくないならいいよ!」なんて会話になることも。
でも本当は夫と楽しい時間を過ごしたいと思っていたのに、そのような言い方になると喧嘩になりそうですよね。
妻が求めていた、夫と一緒にいる「つながり」や「気楽さ」「リラックス」は叶わなくなってしまいます。
だから感情に振り回された表現ではなく、自分が本当は何を求めているか(ニーズ)を大切にした表現が必要なんです。
また、断るのは気が引けるという人も多いですが、相手同様に自分の気持ちや意思を尊重しあうことが夫婦軸づくりでは大切です。
先ほどの会話パターンを、二人が本当に伝えたかったことに言い換えてみます。
僕もあなたと一緒に楽しみたいけど(楽しみ・つながり)、少し疲れていて(休息)。家で動画はどう?
じゃあ、映画は今度でもいいかな。最近一緒に出かけられてなかったから、疲れているならスーパー銭湯はどう?元気なら帰って動画みるのもいいし。
いいね!
心をつなぐ言い換え術③
元の会話
今日の会議で上司に怒られちゃった…
そっか、あなたなら大丈夫だよ
妻が満たしたいと思っているニーズは、このようなものが考えられますす。
- 自分の努力の「承認」
- 悩みの「理解」
- 自分の感情の「尊重」
- 未来への「安心」
- 前向きになりたい「元気」
- 助けがほしい「支援」
「安心して欲しい」ゆえの「大丈夫」の言葉ですが、励ます前に今相手が満たしたいニーズに目を向けることがおすすめです。
なぜなら、今「ある」ニーズを「ない」ものにすると、自分を「受容」や「尊重」してもらえていない感じがするからです。
だから、いったん相手の満たされていないニーズがあることを受け止めて、実際に起こったことや具体的な心情をききます。
心をつなぐ言い換え術③
そうなんだ。それはつらいね。どうしたの?
まず自分の心情やニーズを受け止めてもらえると、心があたかかくなるし、あなたとの心のつながりを強く感じられるようになります。
夫婦の心を「満たしあう」とは?
こちらの記事の後半のお話がとても分かりやすいです。
夫も妻も幸せな夫婦軸をつくろう
これまで見てきたように、「大丈夫」は便利ですが、夫と妻のすれ違いを生んでしまいます。
夫婦の会話のすれ違いにお困りの方はこちらがおススメです。